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放射性物質って何?

放射性物質って何?

食の安全性への関心が高まっている昨今、
食品に含まれる放射性物質について、心配されている方も多いのではないでしょうか。

ここでは、食品中の放射性物質とその検査方法等について、簡単に説明していきます。

そもそも、放射性物質・放射能・放射線って?

「放射性物質」とは、放射能を持つ物質のことです。
放射性物質は一定の確率で崩壊し、それに伴って粒子線や電磁波が放出されます。

この放射性物質の性質のことを「放射能」といい、単位は”ベクレル”で表されます。
そして、崩壊時に放出される粒子線や電磁波のことを「放射線」といいます。

放射線 電球に例えると、こうなります。
●電球=放射性物質
●光を出す能力=放射能
●光=放射線

電球(放射性物質)は電気を通すと、
光を出す能力(放射能)によって、
光(放射線)を放ちます。






放射性物質の人体への影響

放射性物質の人体への影響は、被ばくする放射線の量、
いわゆる被ばく線量(単位は「ミリシーベルト」)によって異なり、
統計的には、100ミリシーベルトを超えると健康被害が出る可能性が高くなると確認されています。

日本人1人あたりの年間平均被ばく線量が約1.5ミリシーベルト
(そのうち食品から受ける線量は0.41ミリシーベルト)と言われていますので、
通常の生活を送っていれば、健康への影響が出る可能性はほとんどないと考えてよいでしょう。

もしも放射性物質が体内に摂取されても、排泄などによって体内の放射性物質は減少します。
減少にかかる期間は、年齢や放射性物質の核の種類によっても異なり、
1秒以下~数十億年のものまで様々です。

ちなみに、この被ばく線量(ミリシーベルト)を算出するには、
「放射能の強さ(ベクレル)×実効線量係数」になります。

「実効線量計数」とは、放射性物質の種類・摂取経路・年齢区分ごとに
国際放射線防護委員会等で設定された換算係数の数値のことです。
よく耳にする、ベクレルとミリシーベルトの関係はこういうことだったんですね。

放射性物質検査の概要

厚生労働省が定めたガイドラインに基づき、
各地方自治体(都道府県、保健所を設置している市、特別区)が食品中の放射性物質の検査を行い、
放射線量の「基準値」を下回る食品が安全な食品として流通しています。

この「基準値」というのは、
各年齢や性別などによって分けられたそれぞれの区分ごとに、
食品の摂取量・体格・代謝などを踏まえた係数に基づいて年間の放射線量の限度値を算出し、
その結果に基づいて定められた数値のことです。

年間線量の上限値が年間5ミリシーベルトから「年間1ミリシーベルト」に引き下げられたことにより、
新しい基準値では、一般食品の基準値も「100ベクレル/kg」に引き下げられました。
この数値は、乳幼児や妊婦をはじめ、全世代の男女に配慮した基準値となっています。
乳幼児食品や牛乳などは、放射線の影響が高いとされる子どもへの配慮から「50ベクレル/kg」、
飲料水にいたっては「10ベクレル/kg」に引き下げられました。

検査を実施した結果、もしも基準値を超える食品があった場合は、
食品衛生法に基づいて回収・廃棄などの措置が取られ、
また、地域的に広範囲に及ぶと認められる場合には、
原子力災害対策特別措置法に基づいて、内閣総理大臣から関係知事に指示が出され、
関係知事は関係事業者などに出荷を控えるように要請することになります。

各地方自治体で実施された検査の結果は、厚生労働省が取りまとめ、
厚生労働省のホームページ上で公表されています。
(厚生労働省のホームページ⇒ http://www.mhlw.go.jp/shinsai_jouhou/shokuhin.html
また、農林水産省のホームページでは、
地域・時期・品目別の放射性セシウム濃度を検査結果としてまとめています。
(農林水産省のホームページ⇒ http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/index.html

検査対象となる食品・産地

検査対象となる食品は、一般的に市場に流通している食品
(野菜類、果実類、きのこ・山菜類、肉、穀類、乳、水産物、米、卵、茶、はちみつなど)です。
過去の検出値に基づき、生産者や製造加工者が明らかなものが検査対象となります。

検査対象となる産地は、国が指示した自治体で、全都道府県ではありません。

検査頻度

食品の品目ごとに、生産・出荷等の実態に応じて定期的(原則的には週1回程度)に実施されています。

出荷時期が限定される品目は出荷開始3日前以降~出荷初期に検査を実施します。
漁期が限定される品目は、まず漁期開始前に検査を実施し、
漁期開始後は週1回程度、検査を実施します。
飼育管理の影響が大きいためモニタリング検査を継続的に行う必要があるもの(乳、牛肉など)は、
乳は原則として概ね週1回程度、牛肉は生産者(農家)ごとに3か月に1回程度とされています。

もしも、基準値を超えたり基準値に近い放射性物質が検出された場合には、検査頻度を強化することになっています。

また、検査計画については各自治体のホームページで公表されています。

検査方法等

放射性物質の検査方法等については厚生労働省によって定められています。

・検査機器等
  「ゲルマニウム半導体検出器を用いたガンマ線スペクトロメータ」を使用します。
  ただし、定められた測定条件を設定できる機器であれば、この機器以外の装置で検査する事も可能です。

・試料の前処理
  液体のもの・・・そのままの状態で使用します。
  固体のもの・・・ハサミやカッター、包丁等で細切りにし、全体を均一になるように混ぜたものを試料とします。
  乾燥させたもの・・・原則として、飲食する際の状態と同じ状態にするため、水戻ししてから検査を行います。
             ただし、乾燥した状態で検査を行い、定められた方法で換算しても差し支えありません。
  茶・・・10グラム以上の茶を30倍の量の熱湯に1分間浸し、ふるい等でろ過した浸出液を試料とします。

・検査順序
  まず、測定容器に入れた試料を検出装置に載せ、測定条件に基づた時間で測定し、
  スペクトル(成分量の大小に従って分布を表したもの)を出します。
  次に、そのスペクトルを定められた方法で解析し、試料中の放射性セシウム濃度と、
  測定結果に伴う係数誤差による標準偏差を出します。
  検査結果が「不検出」であった場合には、検出限界値が基準値の5分の1の濃度以下である事を確認します。

事業所における検査状況

国のガイドラインに基づき自治体が検査しているのとは別に、独自に検査を実施している事業所もあります
国が定める基準値よりもさらに厳しい基準値を独自に設けている事業所もありますし、
検査方法や検査対象食品についても事業所により異なります。

事業所による独自検査は「消費者により安全な食材を提供する」という事業者の思いからなるものでしょう。
消費者にとってはありがたいことですね。

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